
こんにちは。禅聴者冨ヶ原です。
4月も終盤。
新入社員のみなさんも、そろそろ研修を終えてそれぞれの部署に配属される時期ですね。
私は、外部から組織に関わる立場として、日々社員の皆さんをサポートしています。そんな中で、新入社員の教育現場の様子を見ていて毎年感じることがあります。
それは、教える側が「作業」を教えていて、「仕事」を教えていない、ということです。
たとえば──
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「この書類が届いたらチェックしてこの箱に入れてください」
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「このデータはここを確認したら、次の部署に送ってください」
といったような、「やるべき手順」だけが伝えられていることがとても多いのです。
でもこれでは、本当の意味で「仕事」を教えているとは言えないんですよね。
先日もこんな場面がありました。
ある企業様で、新入社員Aさんが「請求書の作成」を教育担当の方から教わっていました。
その日、Aさんは学んだことを積極的に取り組もうと、自ら率先して請求書を作成しますと申し出ました。
内容は、お客様に有料レンタルとして商品提供した際の請求書作成。
率先して取り組む姿勢は素晴らしかったのですが、いざ作業を終えたものを確認してみると、請求書に記載された金額がなんと「0円」。
もちろん無料レンタルではありません。
確認をしてもらった先輩から指摘を受け、当然ながら訂正することとなりました。
私はその後、本人にそっと聴いてみました。
「請求金額が0円だったことに、違和感はあった?」
すると、
「はい、ちょっと・・・。でも特に深く考えずに進めてしまいました」
と素直な答えが返ってきました。
さらに、聴いてみます。
「この作業は何のためにやっているか、理解しているかな?」
と尋ねると、少し考えたあとで、
「その商品を次のお客様にレンタルできるようにするためです」
との返答。
要は、請求書を作成することでその商品が空く状態になるので、次のお客様にレンタルできるようになるという返答です。
このやりとりから見えてきたのは、やはり「作業」だけが教えられていて、「仕事」の意味や背景までは伝わっていなかった、ということでした。
私は普段から、
まずは大きな視点から伝えていくことが大事
だとお話ししています。
例えば、
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この会社は誰に、何を、どんな価値としてどのように提供しているのか
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その流れの中で、今あなたがいるチームはどんな役割を担っているのか
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そして、あなたが今行っているこの作業は、どんな目的を持っているのか
こういった「大きな枠組み」から少しずつ具体的な作業へと落とし込んでいいくことで、個々人の役割や目的などが理解できるのです。。
そこで、教育担当の方に「こういった教え方を意識してみてくださいね」とお伝えし、教育担当者と共にAさんに、こうした背景を一つずつ説明し、納得できるまで、どんな小さな疑問にも耳を傾けました。
このようなことは、新入社員に限らず誰かに何かを教えるときは、
ただ「やり方」を教えるだけでなく、「それを行う意味」まで一緒に伝えることです。
それが、相手にとって本当に意味のある学びになるのです。